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安倍安人 陶芸(備前焼)・平面・オブジェ

[人は日々]

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略歴

1938年  大阪市生れ
1986年  岡山県牛窓町(現・瀬戸内市)に完全地下式穴窯を築く
1996年  ニューヨークDAIICHI Artにて個展
2010,18年  ミウラート・ヴィレッジ(三浦美術館・愛媛県)にて個展、他、国内、国外にて個展・グループ展多数
2016年  台湾の故宮博物院に収蔵される(3点)。他、アリアナ美術館(スイス)、メトロポリタン美術館(アメリカ)などで作品収蔵。

[論評]冊子「人は日々」No.05より)

安倍さんはもともと古美術および現代美術の両領域に通じている人で、その見識が創作の土台をなしているので、傘寿を越えた今日の展開はそれらの要素が渾然一体となって個々の作品に流れ込んでいるような地点に達しています。彩色備前も平面作品もオブジェ表現も、造形メディアの違いによる外見の違いは見せながらも、その本質は安倍アートという一つのユニバースの現れに他なりません。
 安倍備前の原色的な加飾は、「人肌を優しく刺激する」の触覚的な官能性志向を担アピールしています。稚児的な線描で鳥の絵が絵付けされている彩色備前偏壷は、プリミティブな構成を通して〝侘び〟を遊ぼうとするかのようです。
 昆虫を描いた平面作品は、村上隆が唱導するスーパーフラットな表現を安倍さんなりに換骨奪胎しています。スーパーフラットはいわば“奥行き0(空)”ということです。平面表現における奥行き0(空)、その欠如性の内部から浮上してくるのは色彩世界の“艶”っぽさ、豪奢な幻想の〝侘び〟の世界です。